■コラム6:ノースショアで、野生のウミガメと出逢う
サーファーの町、ハレイワから東へ数マイルほど走ると、やがて左手 に美しい白砂のビーチが見えてきます。ここ数年、ウミガメのビーチと して人気を集めている、ラニアケアビーチ。ノースのビーチめぐりに は、欠かせないスポットです。娘とそのお友達のまりちゃんを連れて、久しぶりにこのウミガメの ビーチを訪れました。
ハレイワからワイメア方面へと向かうハイウェイ沿いに、白砂の続く 海岸線が見えて来たら、山手に車を停め、そこから道を渡ってビーチへ 降りていきます。小さな岬が突き出し、入り江になっているところが、 ウミガメのスポット。
この辺りは、シャワーもライフガードの設備もなく、近隣の人たち がのんびりと過ごす、隠れ家的なビーチ。いつの頃からか、野生のウミ ガメたちが浜に上がってお昼寝する姿が見られるようになり、一躍、 ツーリストに人気のビーチとなりました。今では保護団体のスタッフが日中ここに待機し、浜に上がってくるウ ミガメたちを監視。日英両語の説明書が用意され、訪れた人たちはウミ ガメを目の前に、その生態についてレクチャーを受けられます。
この日、浜に出てみると、岩と見間違うほど立派なウミガメが2匹。 波打ち際でのんびりお昼寝をしています。浦島伝説を彷彿させるような 巨大なウミガメの姿に、子どもたちは大喜び。
沖の方へ目をやると、波間にツヤツヤと輝く甲羅がちらりちらりと 見えています。その中には、突起状のアンテナが付いているものも…。 監視スタッフの話によれば、今や絶滅の危機に瀕しているウミガメを保 護するために、この辺りへやってくるウミガメ2匹の甲羅に探知機を取 り付けてその回遊の様子や生態を観察しているのだとか。
一日の大半を海中で過ごすウミガメも、数時間は陸に上がり、休息を 取ると言われています。波打ち際を行き交う波に身を浸し、ごろんと横 たわっているウミガメの姿は、なんとも幸せそう。じっと見つめる子供 たちの顔にも、自然と笑みが溢れます。
岩のように微動だにせず、のんびりとお休み中のカメたちから離れ、 子供たちは砂遊びに興じ始めました。その姿のまた幸せそうなこと…。
いつのまにか陽が傾き始めました。カメの存在も忘れ、無心に砂を掘 り続けている子供たち。そして、波打ち際であいかわらずゴロンと心地 よさそうにお休み中のカメたち。
傾くにつれ、輝きを増しながら空と海を黄金色に染めていく夕陽を、 ただ静かに見つめます。目を閉じると、まばゆい光とともに力強いエネ ルギーが流れ込んで来ました。心身の深いところに滞っている負のエネ ルギーが解き放たれ、みるみる洗い流されていくのを感じます。
陽は、瞬く間に水平線に落ちていきました。 さあ、これからが夕暮れの本当の美しさを堪能するひととき。陽が沈 み、夕闇に包まれ始めた海に再び変化が現れるまで、しばらく待ちま す。
10分ほど経ったでしょうか…。陽の沈んだ辺りから仄かな光が 射し始めました。水平線の際が刻々と紅色に染まっていきます。
ふと横に目をやると、波打ち際にいたウミガメはいつのまにか姿を消 し、砂掘りに夢中だった子どもたちは、立派に造りあげた砂のお城の傍 らで、海の方をじっと見つめています。その視線の先には、紅色から紫、そして藍色へと、次第に色合いを変 えていく夕暮れのイリュージョンが見事に繰り広げられていました。
★☆★ DATA ★☆★
●Laniakea Beach:ハレイワから東へ車で約5分。パイナップル 畑(ドールプランテーション方面)からアクセスする場合は、ハレイワ を通らず、そのまままっすぐノースの海岸線へと抜けて、最初に見える 白砂のビーチ。沿道の山手にずらりと車が停まっているポイント。看板 やシャワー、トイレなどの公共施設はない。
(写真/文:ふなはしまさこ)